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2020年7月17日

【Access】営業担当者と担当組織を深堀してみる

営業が見るデータイメージ

こんにちは、河原光喜です。

私はAccessを用いて、現場向けの資料を多く作ってきましたが、売上データについて意外と奥深いので自身の経験をもとに書いてみたいと思います。

財務会計と管理会計

まず大前提として、会計基準は完全に1種類で決まった形になっている…わけではない、ということです。

売上というと決算書などを思い浮かべると思いますが、これは「財務会計」と言って外部に公開する資料となり、決まった基準で作られます。

他方、社員の評価や管理職の管理都合で作られるものは「管理会計」と言います。内部統制を目的に作られるもので、各自が自由に作って問題はありません。

ただし、自由と言っても、財務会計と近い基準で作った方が二重で作る範囲が少なくて済むので、大抵は近い基準で考えられるのが通例です。

 

この「管理会計」が今回のお話の範囲となります。

 

売上タイミング

売上の評価基準4種類

「売上」とざっくり言っていますが、基準として考えられるのは正確には「成約」「売上」「売掛」「入金」の4種類があります。

どの基準で切り出すべきかは、人事評価をベースに考えると良いでしょう。

例えば「成約」であれば、営業マンの活動と評価が直結しやすいメリットがありますが、一方で不正がしやすく管理が難しいデメリットがあります。

逆に「入金」基準は不正がしにくく集計がとても簡単な点がメリットですが、活動と評価の時差が大きく、営業管理やモチベーション維持が難しくなります。

「売上」や「売掛」は一般的な感覚に近い基準ですが、人事評価を行う上では貸倒時の罰則やマイナス評価について考える必要がある他、管理上では営業部門と生産部門とのコミュニケーションに気をつける必要が出てきます。

 

自社の現在置かれている状況から、これらの評価基準を使い分けられるとよりベターでしょう。

そして、この4種類のどれを使うかによって、ベースとなる抽出データが変わってきます。

 

営業担当者の付け方3種類

売上を考える時に、次に課題になるのは「営業担当者」です。

先に結論を言ってしまうと、「売上時点の担当者」「業績評価上の担当者」「現時点の担当者」の3つが主な対応軸となります。

そのうち、必要なものは「業績評価上の担当者」と「現時点の担当者」の2つとなります。

 

売上時点の担当者

各処理を行う時点での担当者を付与するものです。作成の際はトランザクションデータとして作成しておく必要があります。

分かりやすくはありますが、デメリットは処理時点を遡って修正するのが難しい点です。よくあるのは、営業担当が変更になったのに気付かずに処理を行ってしまったというものです。

したがって、実はこの資料単体ではあまり使い道はありません。

 

業績評価上の担当者

どのようなデータになるかは、人事評価制度次第となります。

もっともシンプルなのは売上時点に加えて修正分が入る形ではないでしょうか。

売上時点のみで対応しようとすると普段のルーチンワークが滞りがちになるので、業績評価上の担当者を決めるフローを切り分けて修正分として、ルーチンを流しやすくするのは必須と言えるでしょう。

 

私が対応した案件では、「月末時点の営業担当者が評価上の担当者となる」というルールで運用されており、月末段階で営業担当者を一気にチェックする業務が存在していました。

 

このデータが現場で必要なのは、営業担当に現時点の売上と売上目標の差を見せて、これからどれくらい営業を進めないといけないのかを示すために利用されます。

大切なのは、「この売上を達成すると評価につながる」という関係を明確にする点です。そのために評価軸と同じ売上で出していく必要があります。

 

現時点の担当者

過去の売上についても現在の営業担当者を付与することです。営業活動を進める目的で利用されます。

作成は顧客担当者のマスタを付与する形で作成されます。

 

下図を例にすると、A商事の担当者は4月は山田さん、6月以降渡辺さんが担当者と仮定します。

売上時点や業績評価で資料が作成されてしまうと、上の表のような形となり、渡辺さんから見ると引継ぎ前の過去の売上把握が難しくなってしまいます。

現在担当者の例

これを現在担当者ベースに直したのが下の表になります。渡辺さんは自身の引継ぎ前の売上推移も把握することが簡単になり、昨年との売上対比などをベースに営業プランを組み立てしやすくなります。

 

実際には上表で出して、細かい点が現場が対応する、という組織が多いです。

でも人数が多くなってくるとそれだけ細かい各自の手間も増えてしまいますし、「実は引継ぎではなく、窓口が違うから分かれている」などのパターンもあるため、現場からするとそれらをきちんと反映したものが欲しくなります。

大きな組織であれば、そういった細かいところまで対応できていると効率的になります。

 

以上が3種類の営業担当者の違いです。

内、2種類が必要と言ってきましたが、データを作成する側からすると、マスタが2種類必要ということになります。

評価上を反映する担当者マスタと、現時点の担当者マスタの2種類を用意しましょう。

 

担当組織を考える

個人とは別に、組織評価が組まれるところも多いと思います。

組織のデータ付与はさらに厄介になります。

  • 顧客に紐づく組織として考える
  • 担当個人に紐づく組織として考える

上は顧客を管轄する担当組織名を付与する考えですが、下の場合は営業担当者の所属組織に付与する考えです。

顧客を担当する組織という考え方

私の感覚ではこちらの方が一般的な考えかなと思いますが、支店ごとに担当エリアがあって顧客が区分されている考え方です。

 

メリットは、担当者が退職や変更があった時にきちんと組織内で引継ぎ・管轄がされやすい点です。

特に過去に売上があって、現在ノンアクティブな元顧客に対する管理はしやすくなります。

 

一方でデメリットは、管理コストは煩雑になります。

顧客の本社移転などで管轄組織が変わる時に変更などが発生するので、「営業担当者」と「担当組織」の2種類を管理していく必要が出てきます。

評価が絡む場合、営業担当者と同様に、売上時点や現在時点などが必要になってきますので対応が必要です。

 

担当個人に紐づく組織という考え方

営業担当者に紐づく組織という考え方もあります。

これは組織評価はあくまで「個人」の集合であるという考え方になります。例えば所属している支店個人の売上合計や達成度合いで見ていくものです。

 

メリットとしては、非常に営業や今後のアクションに特化した考え方であり、個々人は動きやすい点です。

一方、デメリットは管理が煩雑すぎて相当難しい(というより組織管理をする前提が無いかも)点です。

 

ツール上の話をすると、担当個人に紐づく考え方の方が楽です。

例えば、ドリルダウンができる帳票を作成する際には、項目間の親子関係を構築する必要があります。

組織と営業担当者を親子関係とする時に、営業担当1に対して組織1を割り振るだけで足りますので、マスタ管理は1つで足ります。

つまり、4月に東京、6月に大阪に勤務していたAさんに「4月は、6月は」と考える必要はなく、現在所属している大阪というデータを付与すれば足りるわけです。

 

まとめると管理する際は「組織に紐づく顧客」、営業を推し進める際は「個人に紐づく顧客」と覚えておくと便利でしょう。

 

まとめ

ここまで「売上」に対して、抽出すべき4つの種類と、「営業担当」と「組織」を付与する話をしてきました。主に「評価」と「管理・推進」の観点で使い分けがあるので参考にしてください。

他に付与すべき項目や売上数値を複数担当者で案分する場合など、まだまだ深堀できますので、また別の機会に。